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京都地方裁判所 昭和33年(ワ)291号 判決 1958年7月31日

原告

右代表者法務大臣

愛知揆一

右指定代理人大阪法務局訟務部長

今井文雄

法務事務官 綴喜米次

同 去来川重二

大蔵事務官 横山仲記

京都市下京区下珠数屋町通東洞院東入西玉水町二百八十六番地

被告

青木重義

右訴訟代理人弁護士

橋本敦

右当事者間の昭和三十三年(ワ)第二九一号差押債権請求事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

被告は原告に対し金二十六万三千三百四十五円及びこれに対する昭和三十三年四月九日から支払済にいたるまで年六分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告指定代理人等は主文同旨の判決を求め、その請求原因として、訴外葵建設株式会社は昭和三十年十一月十六日現在において別表記載の如き法人税源泉所得税及びこれに対する利子税、延滞加算税等合計二十六万三千百六十五円の国税を滞納しているものであるが、他方右会社は土木建築業者であつて当時被告に対し昭和二十八年十二月十日の請負契約にかかる旅館日満館の改築工事の請負残代金百六十万円の債権を有していたので原告(所轄庁左京税務署長)は昭和三十年十一月十六日前記滞納税金に対する滞納処分として国税徴収法第二十三条の一の規定にもとずき、右請負残代金債権を滞納額の限度で差押え、同月十九日ごろその旨被告に通知した。よつて原告は被告に対し右差押にかかる税金額と滞納処分費百八十円との合計金二十六万三千三百四十五円ならびにこれに対する本件訴状送達の翌日である昭和三十二年四月九日から支払済にいたるまで年六分の割合による商法所定の遅延損害金の支払を求めるため本訴請求に及んだものであると述べ、立証として甲第一号証を提出した。

被告訴訟代理人は原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として原告主張事実のうち、訴外会社が国税を滞納しているとの点は不知、その他については請負残代金債権の金額の点のみ争い他はすべて認める。但し金額の点についても訴外会社が被告に対し差押金額相当の債権を有することは認めると述べ、甲第一号証の成立を認めた。

理由

訴外葵建設株式会社が建築業を営んでいること、同会社が被告に対し原告主張の如き既に期限到来した請負残代金債権を有していたこと及び原告が右訴外会社には原告主張の如き滞納税金ありとしその滞納処分として同会社の被告に対する前記請負工事残代金債権を差押えその旨被告に通知したことは当事者間に争ない。

ところで右訴外会社の前記滞納税金額が合計金二十六万三千百六十五円であることは成立に争ない甲第一号証によつて明らかであるから右差押の通知により原告は右金員と滞納処分費百八十円との合計額二十六万三千三百四十五円の限度に於て被告に対し債権者たる訴外会社に代位するものというべく、なお訴外会社の被告に対する債権が少くとも右合計額以上であることは被告の認めて争わないところである。すると原告が被告に対し前記金額の限度内に於て右代位にかかる請負残代金及び之に対する本件訴状送達の翌日であること記録上明らかな昭和三十三年四月九日以降完済に至る迄商事法定利率による遅延損害金の支払を求める本訴請求は理由があるので之を認容すべきものとし訴訟費用の負担に付き民事訴訟法第八十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 加藤孝之)

別表(滞納税金の明細)

<省略>

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